スンクス研究会とは
スンクス研究会(Research Society of Suncus murinus)は、2006年3月に北里大学で開催された第111回日本解剖学会総会・全国学術集会において、磯村源蔵教授(藤田保健衛生大学)、宮木孝昌准教授(東京医科大学)両世話人のもと、はじめて開催されました。それ以来、東日本大震災のために中止となった2011年を除いて、毎年、日本解剖学会総会・全国学術集会の会期の前日に“関連する研究集会・懇話会”の1つとして開催されています。
「スンクス研究会」発足にあたって (スンクス研究会事務局)
スンクス(学名:Suncus murinus,日本名:ジャコウネズミ,麝香ネズミ)は食虫目(Insectivora)を代表する動物の一つである。我が国におけるその紹介および研究の歴史は、1920年代まで遡ることができるが、本格的にスンクスの採集,飼養,繁殖および実験動物化が進み出したのは1970年代以降のことである。1990年代にはスンクス研究は世界的なトピックとなり、現在では発生学、形態学、生化・生理・病理・薬理学など基礎研究分野から発癌などの臨床分野や、遺伝子発現、ゲノム解析などのさまざまの分野にまで及んでいる。2005年12月末までに、世界のスンクス研究論文数(欧文)は524編を数え、研究者は日本を始め、アメリカ、インド、イギリス、ロシア、香港など世界16ヶ国・地域に分布している。そのうち邦人研究者の欧文論文数は291編で、世界全体の55.5%を占めている。特に1980年代以降に限れば、世界のスンクス欧文論文の66.4%が邦人の手によるものである。医学中央雑誌によれば、スンクス研究に関する報告は会議録も合わせて2005年12月末までに765編あり,内会議録は490編(64%),会議録以外(原著,総説,解説など)は279編(36%)であった。スンクスに関する研究活動は全国31都道府県、89施設(大学:65;研究所:13;民間会社:7;病院:4)で行われており、数百人規模の研究者の存在が予想される。
即ち、我が国のスンクス研究は80年にも渡る歴史を持ち、現在も研究の発起、推進、普及に、世界の先頭に立って貢献している。にも関わらず、スンクス研究自身の母体となる組織を持たなかったことは、スンクス研究者にとって痛恨の極みと言わねばならない。スンクス研究者が一同に会して情報を共有するとともに交流を深める場として本会の発足は、かねてからの切実な待望であったと言えよう。
スンクス研究者一同の願いが実現することを喜ぶとともに、本会における研究者相互の切磋琢磨から、我が国のスンクス研究に更なる1ページがもたらされることを、準備会のメンバー一同心より期待し確信するものである。
「スンクス研究会」事務局
2006年3月20日
「スンクス研究会発足」に当たって(磯村源蔵先生)
こちら(PDF)をご覧ください。
スンクス研究会の発足にあたって(伊藤正裕先生)
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